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大阪地方裁判所 昭和63年(わ)453号 判決 1988年7月21日

本店所在地

大阪府東大阪市衣摺五丁目六番九号

商号

日研工業株式会社

代表者氏名

三井田美智磨

本籍

新潟県柏崎市春日一丁目一二五八番地の一

住居

大阪府東大阪市菱屋西五丁目一一番三二-一〇一〇号

会社役員

三井田美智磨

昭和九年九月一四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人日研工業株式会社を罰金一七〇〇万円に、被告人三井田美智磨を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人三井田美智磨に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人日研工業株式会社は、本店を昭和六一年一一月一六日まで東京都墨田区業平一丁目二番九号に、同月一七日以降大阪府東大阪市衣摺五丁目六番九号に置き、建築用金物製品の製造販売業を営んでいる資本金四〇〇万円の株式会社、被告人三井田美智磨は、同被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人三井田美智磨は、同被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の仕入、外注工賃及び給料賃金を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、

第一  同五八年五月一日から同五九年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が六六六九万九八一七円(別紙一修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、同年六月三〇日、東京都墨田区業平一丁目七番二号所在の所轄本所税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六三二万三六四五円でこれに対する法人税額が一八一万六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、正規の法人税額二七七四万七一〇〇円と右申告税額との差額二五九三万六五〇〇円(別紙四脱税額計算書参照)を免れ

第二  同年五月一日から同六〇年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が九五三二万九七五〇円(別紙二修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、同年七月一日、前記本所税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二五七二万一三七〇円でこれに対する法人税額が九八九万九三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、正規の法人税額四〇〇三万九六〇〇円と右申告税額との差額三〇一四万三〇〇円(別紙四脱税額計算書参照)を免れ

第三  同年五月一日から同六一年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が五一六九万八五八五円(別紙三修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、同年六月三〇日、前記本所税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二一九二万一三一三円でこれに対する法人税額が八二五万七七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、正規の法人税額二一一五万一一〇〇円と右申告税額との差額一二八九万三四〇〇円(別紙四脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人三井田美智磨の当公判廷における供述

一  被告人三井田美智磨の検察官に対する供述調書二通及び同被告人に対する収税官吏作成の質問てん末書一四通

一  増井外廣及び岡村妙子(三通)の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の井上吉雅、三星直子、増井外廣(二通)、仲島佑、岡村妙子(一一通)及び堀越達哉に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書一七通(検察官請求分証拠等関係カード番号7、9から11、13から15、17から19、21から25、27、28)

一  東大阪税務署長作成の証明書

判示第一及び第二の各事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(同カード番号6、8)

判示第一の事実について

一  収税官吏作成の福本良子及び森庄司に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書(同カード番号12)

一  本所税務署長作成の証明書(同カード番号1)

判示第二及び第三の事実について

一  収税官吏作成の豊田武彦に対する質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(同カード番号5、16)

判示第二の事実について

一  収税官吏作成の若山信之に対する質問てん末書

一  本所税務署長作成の証明書(同カード番号2)

判示第三の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(同カード番号20、26)

一  本所税務署長作成の証明書(同カード番号3)

(法令の適用)

被告人三井田美智磨の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑をそれぞれ選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人三井田美智磨を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

さらに、被告人三井田美智磨の判示各所為は被告人日研工業株式会社の業務に関してなされたものであるから、同被告人会社については法人税法一六四条一項により判示各罪につきいずれも同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状によりそれぞれにつき同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で、同被告人会社を罰金一七〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 的場純男)

別紙一 修正損益計算書

日研工業(株)

自 昭和58年5月1日

至 昭和59年4月30日

<省略>

別紙二 修正損益計算書

日研工業(株)

自 昭和59年5月1日

至 昭和60年4月30日

<省略>

別紙三 修正損益計算書

日研工業(株)

自 昭和60年5月1日

至 昭和61年4月30日

<省略>

別紙四 脱税額計算書

日研興業(株)

<省略>

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